業界による違いに注意
業界によっても使われ方に違いがある
バリデーションという言葉は、検証・実証・認可・妥当性という意味合いを持っており、良し悪しを判断するものではありませんが、それを踏まえても使われる業界によってニュアンスが異なります。コミュニケーションをとる際に認識が違っていると混乱を招く原因にもなりかねないので、それぞれの業界での意味合いを把握しておいたほうが良いでしょう。
頻繁にバリデーションという言葉を使う業界の代表的なものをピックアップしていますので、参考にしてみてください。
製薬業界では
私たちにとっても身近な薬の製造において、その効能や品質、成分配合が同じであることは必須の条件です。これをクリアするためにバリデーションが行われます。
製造する際の設備や作業の工程、品質管理の方法が、求められている条件をクリアできる薬の製造に最適かどうかを検証する一連の業務が、製薬業界におけるバリデーションの意味です。薬だけでなく、医療機器などを製造する際にも使われます。
IT業界では
今や情報を収集したり活用したりするのに欠かせないITですが、そのシステムやウェブサイトなどを作成する際にもバリデーションを行う必要があります。
IT業界におけるバリデーションとは、成果物が用途に適した条件をクリアしているかどうかを確認する、という意味合いです。具体的には、入力場所、書式設定やデータの形式などがあらかじめ決められているマニュアルに沿っているかを確認します。マニュアルと言っても、正確に作動するかどうかということは当たり前ですが、誰がどのような用途で使うものなのかという成果物の違いによってクリアするべき条件が変わってくるので、その意図を十分理解した上で行うことになります。
また、いくつかの段階を踏んで開発される場合、作業が進んでいくうちに本来の意図から外れていってしまう可能性もあるので、本当に用途にあっているかどうかを確認するバリデーションが必要なのです。
取扱説明書の作成にも使われる
日常的に触れるさまざまなものには、取扱説明書がついている場合が少なくありません。この取扱説明書を作成するにあたっても、バリデーションは行われています。製品やメーカーによって異なる部分もありますが、ここではある自動車メーカーを例に挙げて紹介します。
自動車を運転するのは、慣れている人ばかりではありません。同じ取扱説明書を読んでも、分かりやすさや読みやすさが異なるということです。そこであるメーカーは俗に言うペーパードライバーに協力してもらい、取扱説明書を読んで操作した場合の判読性・可読性・視認性・検索性、そして一番重要な正確性について検証しているとのことです。この結果を踏まえて、次回作成する際に分かりやすさや読みやすさをさらに向上させることができるのです。また、意図していない情報の伝わり方を把握したり、変更情報の反映が漏れていることもここで発見することができます。
日常生活の中でも試してみよう
バリデーション療法のテクニックは、豊かなコミュニケーションや信頼関係の構築にとても役立ちます。多くの項目がありますが、その1つひとつはすぐに実践できるものなので、まずはできそうなことから始めてみましょう。
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